【本】そして、僕らは風になる 走ることから学んだ夢をかなえる方法
田中渉著 マガジンハウス 2009年
ちょっと古い本ですが。
フルマラソンを目指す小学生としか見えない虚弱な高校生を、一年中サンタのコスプレをしているおやじがサポートするお話し。
副題からも判るように、「自己啓発小説」と紹介されているところもあります。中身は「前向き」なので、この本で自己啓発されちゃう人もいるかもしれません。
が、ストーリーは単調で、たぶん取材ゼロで書いているので、話の膨らみというかリアリティは全く感じられません。ただ著者はホノルルマラソンを走ったことがあるようなので、その部分は別ですが。小説としては駄作ですね。
で、なんでこの本を紹介するのかというと。
古今東西のランナーの言葉がストーリーの中で重要な役目を果たしています。さらに巻末にその他のランナーの言葉が収録されていて、「マラソン名言集」みたいなことになっています。
収録されているランナーを紹介すると。
中村清、ジョージ・シーハン、小出義雄、マイケル・ワトソン、金栗四三、フランク・ショーター、有森裕子、エミール・ザトペック、谷口浩美、谷川真理、高橋尚子、瀬古利彦、君原健二、ポーラ・ラドクリフ、オブラ・ウィンフリー、ファツマ・ロバ、市橋有里、野口みずき、増田明美、リディア・シモン、森下広一、渋井陽子、宗茂、パーシー・セラティ、ロン・クラーク、ラッセ・ビレン。
ただね。
出典が全く書かれていないので用心する必要があります。(笑)
たとえば。
「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く」を高橋尚子の言葉としています。確かにQちゃんはあちこちでこの言葉を紹介していますが、それは「好きな言葉」として、座右の銘としてです。
Qちゃんが初めてこの言葉に出会ったのは、県立岐阜商業3年の時です。山梨学院大学を卒業して新任教師として赴任してきた中沢正仁氏から聞いたようです。中沢氏はあのオツオリ選手のルームメイトだったこともあって面白いエピーソードがあるのですが、ここでは割愛。で、山梨学院大学といえば上田誠仁監督。上田氏は順天堂大学時代に小出義雄氏の指導を一年間受けています。後に小出門下生になるQちゃんは、高校時代にすでに、ひ孫弟子だったんですね。
話がそれました(汗)。新卒の新米教師が生み出した言葉とは思えないので、陸上競技指導者の間で受け継がれてきた言葉なのでしょう。後藤清一氏(元三洋電機副社長)の言葉という説もあります。(私はまだ裏をとっていません)
と。問題山積な本ですが。図書館か古本屋で見かけたら手にとって見て下さい。私みたいにひねくれていなければ、案外、素直に感動できるかもしれません。(笑)
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