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2008年11月20日 (木)

冬の喝采

081120fuyu  昨夜来の降雪で、一夜明ければ本格的な冬化粧になりました。

 さて、本日のタイトル、実はこの本です。

 著者の黒木亮は、すでに「経済小説」の作家として著名ですが(私は一冊も読んでいませんが(^^;;)、これは、作者本人が書いた中学から大学までの8冊の「陸上練習ノート」をもとに書いた「自伝的小説」です。
小説といいながら、書かれているエピソードは全部事実と言っていいくらいで、登場人物は実名で、本人もペンネームではなく本名の「金山雅之」で、登場します。
出てくる名前は、瀬古利彦、金井豊、中村孝生、新宅雅也、上田誠仁と、往年の名ランナーがぞろぞろ。本の内容は、練習、故障、試合、そして箱根駅伝を、ノートをもとに「作家の筆力」で、淡々と読ませます。
たとえばプロローグで、いきなり大きな山場を持ってきます。第55回大会、長期低迷中だった早稲田、2区の瀬古が25年ぶりに箱根駅伝の先頭を走っているシーンから始まります。
〔以下引用〕
「早稲田!」右手で係員の一人が叫んだ。人垣の間にできた花道に、臙脂のユニフォームが姿を現した。立ち尽くす群衆の中で、唯一動いている人間。あっと思う間もなく、臙脂色は大きくなり、目の前に苦痛で顔を歪めた瀬古利彦が迫ってきた。
周囲でどよめきや歓声が沸き起こっていた。「頼むぞ、金山!」「はい!」瀬古と一瞬の会話を交わし、右手で臙脂色のタスキを受け、弾かれるように走り出していた。(中略)
約10メートル前方の左右に二台の白バイ、(中略)ランナーとしてはある意味、見慣れた風景だった。
白バイの先に視線を向けた瞬間、わたしは驚きで両目を見開いていた。
トラックの報道車があり、車の後部にずらりと並んだ二十本くらいの大きなカメラのレンズが、砲列のようにわたしを狙っていた。
〔引用終了〕
いいなぁ、このリアリティ。作家が自分の青春のすべてを賭けた「陸上」を渾身の力で描ききっています。しかも熱くならずにクールに。
もう一つの読みどころは、当時の早稲田の監督だった、中村清。彼の個性がほぼ全編を通して炸裂しています。(^^;;
中村清の逸話はいろいろな本で知っていますが、ここまで鮮烈に描いた本も少ないかと。

ところで、実は金山君、私の高校の2期後輩です。中学、高校時代を書いているところでは、私の知り合いが何人も登場しているのでした。(^^;;

という、多少不純な動機で購入した本でしたが。読後感は期待以上でした。陸上ヲタクならお勧めの一冊です。

☆☆☆☆★ 身びいきを考慮して星4つ。

今日はゴン散歩2k、長靴の底が減っていて、転倒一回。(^^;;

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