雪、降りました。
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村上春樹のエッセイ。「走ること」を軸とした「小自伝」です。
こうめさんが紹介していたので、私も読んでみた。
もちろん、図書館から借りて。(^^;;
で、思いがけなく彼と私の共通項をいくつか発見しました。
彼が走り始めたのが1982年。
私が走り始めたのが1983年。
彼は50代(後半)。
私も50代(前半)。
彼の最近のフルマラソンの記録は4時間ぐらい。
私の最近のフルマラソンの記録も4時間ぐらい。
彼はトライアスロンをやっている。
私はトライアスロンをやっていた。
彼は飲食店をやっていた。
私は飲食店をやっている。
(しかしながら、この違いは大きい。彼は「流行っていた」店から作家に転進したのですが、私は「流行っていない」店を営業し続けているのです。)
村上の小説は一冊も読んだことはありません。あの「ノルウェイの森」もね。
「シドニー!」は読んだけど、あれはルポルタージュ。
と、言うわけで、彼が走ることについて語るとき、いちいち「ふんふん、そうそう」と、ひどく納得できるのです。彼のランニングにおける心象風景がすんなりと私の心象風景と重なるのです。それは、彼が創作活動について語る風景が、私にとってやはり他人事であるのとは対称的でした。
そして、現在の彼の姿は、「老いること」に諦観した、あるいは覚悟を決めた、しかしながら「腑に落ちない」顔をして走り続けているランナーです。
それは、若いランナーの姿に、何物にも換えがたい輝きを見て、振り返って当時の自分の未熟な青さに思いを至らせ、取るべき物を取りつつ、多くのものを捨ててきた年月の堆積層を測り、それでも「まだもう少し速く走れるはずだ」と思いながら、現実のレースに承服しがたいタイムを突きつけられている姿です。
この本から、ランニングに関する新たな知見を得ることはありません。
誰に薦めればよいのでしょう。ハルキストなら、とっくに手にとっているでしょうし。
とはいえ、一気に読めた本です。「読んで損した」とはならない、と思います。
【お薦め度】
★★★☆☆
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