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2006年1月21日 (土)

強奪箱根駅伝

 5日連続の降雪で、昨年より平均20cmも少なかった積雪深が、あっけなく逆転しました。ゴンとのjogは、ショートカットの2k。途中、除雪をしている人たちの表情にも疲労感が漂っていました。

 で、私も除雪10000歩(5k)。いいトレーニングです。

 表題は、サスペンス小説。03年の10月出版。前の記事以来、ちょっとランニングがらみの本に傾斜しています。

 神奈川大学駅伝部の女子マネが箱根駅伝直前に誘拐され、日本テレビの駅伝中継のネットワークもジャックされるという内容。サスペンスとしてはまずまずの出来です。駅伝のサポートや、中継の裏方の仕事の様子も丹念に取材されていて、楽しく読めました。

 但し、3区の描写は、選手の名前が途中で変わったり、通過タイムがありえない数字だったりと、駅伝でいえば「大ブレーキ」を起こすのですが・・。後は、一気呵成に大手町のゴールへまっしぐらでした。

 私が、一番惹かれたのは、アンカーを走る選手のモノローグ。ちょっと長い引用になりますが、これでも大幅に削除してあります。

「  軽く背を押されて、誰もいないまっさらな中継点に立つ。これまでの風景が一変した。
 ふいに断崖のすぐ手前に放り出されたような感じだった。何かにすがっていないと、体がどこかにもっていかれそうだった。
 知らぬ間に右手にタスキを握らされていた。何か、耳元で叫ぶ声が聞こえたが、何かわからなかった。
 誰も走っていない道路がぽっかりと前にできていた。止めていた息を吐き出して吸い込んだが、少しも楽にはなれなかった。
 楽しく走れ。篠原の声が耳元に響いた。次の瞬間、数珠つなぎになっている見物人の顔が、ひとつひとつくっきりと見えてきた。腕を振るタイミングと足の動きがようやく噛み合った。(大略)
 このままでいけるかもしれない。思ったよりも呼吸は楽だ。もう増上寺、いや、まだ増上寺だ。また一つギアを上げた。不安は少しずつ小さくなり、別の手ごたえを感じた。見えない何かが自分を引っ張ってくれているような感覚。
 ふいに脚も腰も胸も軽くなったような気がした。ランニングハイだ。こんな時に来るなんて。このままのスピードでどこまでも走れる気がした。
 土踏まずから滑らかに着地する。これまでより、衝撃は少ない。足の裏が驚くほど敏感になっていた。親指と小指以外の指も、着地する時の感覚が別々に感じとれる。
 体全体で路面をグリップして、腕を高く振り上げた。体中に張り付いていた鎖がちぎれて、風に飛ばされたような感覚がした。敵への恐怖は消えてなくなり、走ること自体に抱いていた不安が粉々に砕け散った。初めての箱根を走っていることすら忘れ、勝負という文字も完全に抜け落ちた。解放されていた。自由だった。もう、怖いものは何もなかった。」

 ね、レベルは違うけど、わかるんだなぁ。この感覚。作者はランナーなのか?取材でここまで書けるのなら、相当に突っ込んだ仕事をしたな、と思いました。

 もし読まれるのなら、最先端の技術が書かれていますので、これらのテクノロジーが陳腐化しないうちに読まれるのをお勧めします。

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